ゆるり連句ノート

高松霞の「連句ゆるり」と、連句にまつわるあれこれです。

自由律引用連句・ゆるりソネット(ことわざバージョン)

 

Twitterのタグで、たまに「ゆるりソネット」をやっています。

 

連句ゆるり」の自由律ソネット俳諧※1です。

小説や歌詞など、既存の作品からワンフレーズを抜き取って、物語を連ねていきます。連句のルールはなにもなし。好きな作家や歌手の言葉をどんどん使っていい。複数人でおこなう二次創作です。

 

ポイントは「前句に合うフレーズを見つけること」

それから、「一度出ている言葉や数字は避けること」※2

 

気まぐれに何度か遊んでもらって(参加してくれたみんな〜ありがとうね〜)、そろそろ「なにか新たなネタを!」とゆるりウェブ制作者の佐々木あららさんに相談したところ、「そういうときはことわざですよ。お酒おかわりしていいですか」で、注文しつつやってみました。間違ってない。呑みの席でやるのが連句だ。

 

 

「橋を渡る」

 

1 石橋を叩いて渡る

2 犬と猿

3 釈迦に説法

4 鬼の念仏

5 酸い甘いも噛み分けた

6 雀百まで踊り忘れず

7 似たもの夫婦

8 気は心

9 虎の威を借る狐

10果報は寝て待て

11猫に小判

12情けは人の為ならず

13高嶺の花

14憎まれっ子世に憚る

 

 

で、できた……できるじゃん……!

 

七五調になってる! 当たり前だけど!

やってみて分かったけど、ことわざは長いもの(575)と短いもの(77)がはっきりしているのでリズムをつくりやすいんだね。

 

そして、物語にできた! できるじゃん!

解説がないと読解しにくいと言われる連句ですが、二句づつ読んでいくとわかりやすいです(石橋を叩いて渡る犬と猿が、釈迦に説法を、鬼に念仏を)。

 

8句目の「気は心」は、9句目の「狐が言っているから可愛いんだよ〜」と酔っぱらったあららさんはご満悦でいらっしゃった。

13句目(花の座)に、ちゃんと花を入れられたのにも注目してね!

 

そのうち、Twitterでも遊んでみたいと思います。

タイミング合ったら、どなたでも飛び入りしてね。

 

 

※1 基本的に、連句は「歌仙」という形式で行います。575→77→575……を36句連ねるもの。昭和に入ってから「半歌仙(18句)」「短歌行(24句)」「二十韻(20句)」など、歌仙の簡略化としての形式が次々と生まれていきます。「ソネット俳諧」というのもそのひとつ。西洋の連詩連句のルールを当てはめたもので、計14句です。

 

※2 連句の一番大事なルールは「打越をしない・輪廻させない」ことです。同じ言葉や数字などを繰り返さずに、常に新しい情景を連ねていくという意味なのですが、ソネットのような短い形式の場合は、句から句への情景が飛躍しすぎると物語が繋がりづらくなってしまうので、あまり気にしないほうがいいのかも、と思っています。特に「ゆるりソネット」の場合は、ワンフレーズの長さとかリズムを気にした方が、巻き上がりを読んだときに面白いのかもしれない(……って振り返り的に書いてみたけど、やってる最中はこんなことぜんぜん考えてないです。楽しければそれでいいです)。

 

連歌と連句と付け句の違い

 

ヘイヘイ、モテない女が区別してみるぜ。

細かい年譜は、ゆるり連句史に書いたので端折ります。

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●連歌●

現代の連句とは比べ物にならないくらいのルールがあり、もともとは、教養と知識を備えた貴族の遊びでした

 

・連歌ブームは戦国時代。仕掛け役は宗祇。

・形式→百韻(100句)のみ。

   略式として、五十韻・世吉(44句)・歌仙(36句)などもあります。

・言葉→和語のみ。刺激的でなく、風雅なもの(これが重要なポイント)。

 

連句

庶民でもできるよう、連歌を簡略化したもの

もともとは「俳諧之連歌(はいかいのれんが)」と呼ばれていました。俳諧は「こっけい」という意味。明治初期に連歌の一句目(発句)を独立させた「俳句」が提唱されたことから、明治37年に「連句」という名前に変わりました。

 

連句ブームは江戸時代。仕掛け役は芭蕉

・形式→百韻・歌仙・半歌仙・二十韻などなど、新旧たくさん。

・言葉→漢語・俗語・西洋語、なんでも。

 

●付句●

一句に呼応する形で別の人が句を付け、二句一組の歌にすること。

連歌・連句を巻く際にも「句を付ける」と言いますが、第三句の存在に、付句との大きな違いがあります

 

・形式→575に77を付ける短歌形式、577に577を付ける片歌形式などなど。

 

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連句」は「連歌」とも言われがちだけど。そもそも連歌は和語しか使っちゃいけないもので、たとえば「台風」は漢語なのでNG、「風ごうごうし」とかになる。いまでもプライドを持って連歌を巻いてる団体が関西にあるらしいので、個人的には呼び名はなんでもとは思いつつ、おすすめはしません。

 https://twitter.com/kasumi_tkmt/statuses/358966281602465792

 

貴族の遊びだった連歌を一般庶民でも出来るように作り替えたのが俳諧之連歌(いまの連句)だから、連句も、誰でもできる連句ゆるりにも、誇りを持っていると私は言うべきなのでしょうか……(だんだん小声で)(詳しくはゆるりウェブをみてね)

 https://twitter.com/kasumi_tkmt/statuses/358969224850448387

 

 

冒頭の「区別などつかない人がモテる人です」は、

<川柳と俳句と短歌の区別などつかない人がモテる人です>(枡野浩一)の引用。

きいい。。。